髪型がショートカットの女性キャラについて触れました。
小坂さんも加納さんも、とても魅力的なキャラですが、
もう一人、とても魅力的なショートカットな女性がいます。
それは、「もやしもん」におけるメインヒロインである、
長谷川遥さん。

おいおいおい、待て待て待て。
「もやし」のメインヒロインは及川ちゃんだろ?
イヤイヤイヤ、武藤さんに決まってるじゃないか。
終盤では西野円ちゃんが沢木の彼女だったし、彼女じゃね?
お前等一体何を言ってるんだ、蛍ちゃんこそが最高のヒロインだろjk
・・・とまあ、色々意見はありましょうが、
ここは一つ、遙さんがメインヒロインということで。
世の中にはたくさんの漫画作品があり、
ありとあらゆるタイプのキャラがいますが、
「ショートカットでメインヒロイン」というのは、
それほど多くないように思います。
「俺にとってはこのキャラこそがメインヒロインなんだよ!」
というのは、上記のやりとりのように良く聞かれる話ですが、
それはそれとして、やはりメインヒロインというのは、
広く読者に「ヒロイン」として認知されることが求められており、
ヒロイン=女性らしさということで、
「女の命」とも言われる、髪の長い女性が多いのが現実です。
少数派であろう、ショートカットのメインヒロイン。
そこに思いを馳せる時、真っ先に思い浮かべるキャラがいます。
それは「ハイスクール!奇面組」の、河川唯。

「奇面組」に登場する女性キャラの中で、随一の美少女であり、
優しく、明るく、家庭的であるだけでなく、
バレーボール部に所属してレギュラーとして活躍したり、
マラソン大会や遠泳大会で優勝するなど、運動神経も抜群。

女番のハナシでの邪子さんに続き「奇面組」キャラの登場ですが、
「奇面組」は自分が子供のころ、一番読んでいた漫画で、
学園漫画、ギャグ漫画と言えば真っ先に思い浮かべる作品であり、
そのメインヒロインである唯ちゃんは、先に挙げた完璧ぶりもあって、
自分の中では、理想のヒロインキャラなのです。
また、ショートカットなメインヒロインと聞いて、
唯ちゃんの次に思い浮かべるキャラとしては、
「究極超人あ〜る」の、大戸島さんごが居ます。

甲子園を目指すほどの高校球児の球をホームランにしたり、
短距離走では校内無敵を誇るなど、運動神経抜群。
走っても揺れない胸がチャームポイントの、
ちっちゃい系ヒロインです。

唯ちゃんもそうですが、運動神経が良く、
活動的な女性を現す記号として、
ショートカットが使われているようです。
そういえば、ゆうきまさみ先生の他の作品を見ても、
「パトレイバー」の泉野明や、
「じゃじゃ馬グルーミンアップ」の渡会ひびきなど、
ショートカットのメインヒロインばかりです。
野明は主人公でもあり、精力的に動き回るタイプですし、
ひびきはと言うと、主人公の駿平よりも男勝りなくらいで、
やはり、活動的なイメージとショートカットが結びついています。
ジャンプ、サンデーときましたので、ではマガジンではと言うと、
これは「バリバリ伝説」の、伊藤歩惟となります。

どうにも、古い作品ばかりで申し訳ない。
やはり、子供の頃読んだ作品というのは印象強く残っているもので、
どうしてもそういった作品からの選出となってしまうのです。
さて、歩惟ちゃんについてですが、
彼女はこれまで挙げてきた女性たちとは異なり、
あまり活動的なキャラではありません。
主人公の巨摩郡(こま ぐん)が大好きで、
その後ろをついていくタイプのキャラであり、
彼女の場合ショートカットは、活動性ではなく、
少女らしさ、未成熟さを現す要素となっています。

物語の前半での彼女は女子高生であり、
ずっとショートカットのまま、少女らしさを残しています。
それが物語の後半、グンの婚約者となり、
グンと生活を共にし、一緒に世界を巡るようになると、
髪を延ばし、大人びた風貌になっていきます。

少女から大人の女性へと変わっていくなかで、
その変化の象徴として、髪型を利用しているわけです。
通常、漫画のキャラはあまり外見が変化しません。
外見から受ける、キャラのイメージの変化を嫌ってのことなのでしょうが、
むしろこうして髪型などを変化させることにより、
意図的にイメージを変化させることも、
テクニックとしてアリということなのでしょう。
ここでちょっと番外編。

彼女の名はビッキー。
「MASTERキートン」の、ビッグコミックス版12巻に収録されている、
「靴とバイオリン」というお話に登場する女の子です。
「キートン」は長いシリーズ作品ですが、短編集のような要素もあり、
一話完結型の作品がいくつもあります。
つまり、各話ごとにヒロインがいるようなモノで、
数多く登場する「キートン」のヒロインたちの中でも、
ビッキーは一番好きなヒロインで、
一番キレイなヒロインだと思っています。

しかもショートカットですし。
短い髪に、パーカーとスパッツという出で立ち。
足の速い彼女らしい、さっぱりとしたスタイルです。
何かもう無理矢理ですが、こんな機会でもないと、
もう紹介する事も出来ないだろうと思い、載せてみました。
閑話休題。
さて、女性の髪型についてですが、
現実の女性は、自分の思うように髪型を決められますし、
比較的気軽に、その髪型を変えることができます。
それに比べて、物語のヒロインたちは、
作品の持つ女性イメージの象徴であるだけに、
そうそう髪型を変えることができず、不自由です。
現実よりも架空世界の方が不自由というのも、
何だか皮肉な話ではあります。
たかが髪の毛。
されど「女の命」。
読者に与える「イメージ」の力は絶大。
案外、その影響を強く受けているのは、
読者よりも、作り手の方なのかもしれませんね。