2017年09月13日

さよなら私のクラマー 雑感

さよなら私のクラマー」1巻〜3巻を購読しました。



月刊少年マガジンにて連載中で、高校女子サッカーを描いたこの作品。
連載開始は2016年の6月号からなのですが、
読むようになったのはわりと最近になってからです。

月マガは「capeta」が終わって以降、
いくつかの作品を目当てにサッと読むくらいで、
この「クラマー」はほとんど目に入っていませんでした。
それが数ヶ月前、手に取ってパラパラと見た際に、
偶然目にしたあるキャラにビビッときて、
それ以来この作品を読むようになりました。

ところで、週刊誌に比べて月刊誌の良いところは、
収録されている一話あたりのページ数が多いことだと思います。
ページ数が多いことで、一話あたりの情報量が多いため、
一話だけでも結構読みごたえがあります。

そのため、それまで読んでいなかった作品でも、
雑誌を手にしたその時に掲載されていた話の内容によっては、
その作品や登場人物についての魅力を十分に伝えることができます。
これはつまり、一話だけでも「読ませる」作品が描けるということ。
毎週次々とエピソードが繰り出される週刊誌に対して、
月刊誌が持つ数少ないアドバンテージでしょう。

また、サッカーは球技の中でも選手数の多い競技です。
そしてリアルタイムで試合は進行し、目まぐるしく展開します。
試合の最中に登場する選手の数が多くなると、
どの選手がどういう風に動いていて、今どういう展開なのか、
読者は把握しづらくなってしまいます。

そういう忙しい競技を漫画表現する場合において、
月刊誌のページ数の多さというのはメリットが大です。
細切れにせず連続で試合を展開し、その中で主人公だけでなく、
チームメイトや対戦相手についてのエピソードなども、
一話の中にガンガン入れていくことができます。

ある一つの出来事について、その始まりから終わりまでを、
時系列や人間関係を含めて一話にしっかり納めてしまえる。
それにより、たった一話であっても、十分な読後感が味わえます。

この「クラマー」という作品はその利点を上手く活かしており、
自分の場合も、偶然手に取った号に載っていたエピソードによって、
一人のキャラクターに一気に魅了されてしまいました。

そのキャラクターは、桐島千花。通称チカ先輩。
現在発売中の今月号まで続いていた試合において、
主人公たちと対戦していたチームの選手でした。

cramer03_chika.jpg

体格的には小さく、でこっぱちで、スポーツゴーグルを使用。
パッと見、全く華やかな選手ではありませんが、
自分が読んだ話での彼女は、試合全体を支配するプレーヤーとして、
また、悔しい過去を背負って頑張る一人のサッカー選手として、
その一話においては、まさしく主人公として描かれていました。
その姿が、とても魅力的だったのです。

そしてここ数ヶ月、月マガでの連載をリアタイで読んでいて、
とても面白楽しくチカ先輩を堪能できたのですが、
今月号で試合は終わってしまいました。
そこで、丁度良い機会とコミックスを購読してみたところ、
これがもう大ハマり。
一気に大好きな作品になりました。

cramer01_mirai.jpg

作者の新川直司先生の、サッカーへの強い想い、
そして女子サッカーを応援する熱い気持ちが、
とても強く伝わってくる作品です。
たくさんの女の子たちがサッカーボールを追い、
躍動する様が、とても生き生きと描かれています。

それは主人公格のキャラたちだけでなく、
チームメイトや監督、対戦相手に至るまで、一人一人が、
それぞれの役割と人格を持って丁寧に描かれており、
登場人物の多さと相まって、魅力的なキャラが大勢います。

サブキャラたちの中で特に良いなと感じたのが、
主人公のチームのキャプテン、田勢(たせ)恵梨子。

cramer02_tase.jpg

主人公たちのように特別な選手というわけではないのですが、
チームを見限って先輩たちが去っていった後も踏ん張り、
主人公たち新入生を迎え、期待を胸に前を向き続ける姿は、
スポーツ漫画におけるキャプテンの王道として、
燦然と輝いてみえました。

cramer02_miyasaka.jpg

そしてそのキャプテンを支える、同級生の宮坂真琴。
こういう、頑張るキャプテンを支えるしっかり者というのも、
定番の一つでありますね。
何というか、ガンダムブライトミライを彷彿とさせます。
実は年齢もそう変わらないというね。

あと、真琴という名前でメガネというと、
あるキャラを思い浮かばずにはおられず、
この二人も狂犬コンビに負けないような名コンビになって欲しいと願います。

cramer03_shiratori.jpg

白鳥綾。
名前も普段の行動も、いかにもといったお嬢様キャラ。
こういういかにも漫画っぽいキャラがいて、
それが敵ではなく身内の方にいるというのが良いですね。
性格のわりに憎めない、ナイスなキャラです。

cramer02_itoh.jpg

井藤春名。この娘は主役級ですね。
気付けばいつも何か甘い物を食べてるという。
サッカーをやめたらデブまっしぐらですな。
こういう細かい部分に思いを至らせてしまうほど、
個々のキャラについての描写に余念がありません。

さて、コミックスでまとめて読んでみると、
月刊誌で読むのとはまた違った感じの発見がありました。
一話一話、それぞれが独立して面白いのはもちろんですが、
それぞれの話の中で主役となるキャラが代わるだけでなく、
各巻ごとに、その巻全体で主役となるキャラがいるように思います。

例えば1巻
この巻を象徴する主人公は、やはり曽志崎緑。

cramer01_soshizaki.jpg

中学時代に所属チームを全国3位にまで導いた選手であり、
一匹狼だった周防すみれを仲間に誘った張本人。
自己の実績とユース時代の人脈から交流の幅が広く、
知り合いの多さと実力の高さから、全体を俯瞰して見ることができ、
始まったばかりの物語の案内役としての役割を負っています。
1巻の表紙は恩田でしたが、話の中心人物は間違いなく曽志崎でした。

これが2巻になると、一冊全体で見た代表的なキャラは、
主人公たちの対戦相手チームにいた、佃真央になります。

cramer02_tukuda.jpg

日本一の強豪校に所属する選手らしい、上からくる態度。
しかしただプライドが高いというわけではなく、
ちゃんと結果を出さなければ試合に出られないという、
プレッシャーの中で努力し、培われた実力への自負心。

強豪校にいるから強いのではなく、
強い選手だから強豪校にいるのだという、
ともすれば忘れてしまいがちな事を改めて認識させてくれる、
主人公たちへの壁として、とても存在感のあるキャラでした。

見た目が全然美人じゃないのも彼女のポイントで、
2巻の最後の方ではすごいブス顔を見せてくれました。
そしてこういったキャラが実は乙女チックであるというのもツボで、
彼女を知ることが出来たこということだけでも、
コミックスを買って良かったなあと思えるほど魅力的なキャラでした。

3巻の主人公は、恩田希。

cramer03_onda.jpg

1巻の表紙にもなった主人公格の一人である彼女。
3巻でやっとその存在感が爆発しました。

フットサルで対戦相手に喧嘩を売る。
公式戦が楽しみ過ぎて寝られずコンディション最悪で、
活躍できないどころか自殺点を決める。
学校の体育で白鳥相手にムキになり負傷して試合に臨む。
挙句、試合での対戦相手から「地蔵」呼ばわりされるなど、
素晴らしい活躍の数々。

こういう、全く正統派でない感じもまた、
この作品の魅力の一つなのであります。

さて、10月には4巻が出ます。
そしてその4巻では間違いなく、
チカ先輩が主役を務めてくれることでしょう。
とてもとても、楽しみです。


posted by 山田工作 at 22:44| Comment(0) | コミックス
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

Powered by さくらのブログ