2019年02月20日

さよなら私のクラマー 8巻

「さよなら私のクラマー」8巻を購読しました。



前巻にて、敵チームのエースに対するマーカーとして、
本人も驚くくらい唐突に出場することになった越前佐和。
「実は運動能力が高かった」という結構いきなりな設定に、
今巻ではちゃんと事情説明がなされていました。

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また、敵チームである栄泉船橋の選手たちについて、
ダイジェストですが名前紹介があったのもナイスでした。
こういった細かい気配りがあるのは嬉しいものです。

ともすれば目立つ選手にだけ焦点が当たりがちになるところを、
あまり出番のなかった選手にもちゃんと光を当てる。
しかもそれを、重要人物の性格を表すエピソードとして、
話の中に入れ込んでくる辺りが上手いなあと思います。

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「誰よりも声を出し よく考えて よく走り よく守る」
蕨青南の能見コーチをして一番の驚異と言わしめた、
栄泉船橋のキャプテン、浦川茜。

一番目立っていたのはエースである国府妙でしたが、
「自分はその土台でいい」と言い切る浦川は、
間違いなくこの試合における主役でした。

では蕨青南の方の主役は誰なのかと言えば、
越前、ではなく、彼女を起用した深津監督でしょう。
選手たちのことをよく見て、適切なアドバイスを与え、
状況に応じた適材適所で活躍できる場面を作る。

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越前に出場機会与え、失敗した恩田を立ち直らせる。
選手たちの能力を把握し、信頼しているからこそできる事です。

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試合が終わった後の選手の状態にもちゃんと気を配っており、
見た目はともかく、指導者としてはかなりイケメンでした。

戦術の流行が直ぐに変わる現代サッカーにおいては、
指導者、指揮官の重要性は高まる一方であり、
漫画であってもそれは同様であると言えます。
深津監督や、チームのマネジメントを一手に引き受け、
選手として、主将としてチームを率いた浦川が、
この試合のキーパーソンだったのは当然のことでしょう。

とはいえ、栄泉船橋のエースストライカーとして、
フィールドを縦横無尽に動き回った国府妙と、
彼女に必死に食らいつく姿を見せた越前の存在感は抜群。

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彼女たちのマッチアップもまた確かに、
この試合を彩る名場面の一つでした。

一方で、蕨青南の得点源だった曽志崎緑はというと、
ゴールシーン以外での存在感は極めて薄め。

これは、最後にゴールを決めた選手だけでなく、
全てのプレーヤーの活躍があってゴールが生まれる。
目立たない、あまり描かれない選手であっても、
それぞれがフィールドの中で動き、考え、
それぞれの役割を全うしている。

そういう事を感じてもらえるように、
あえて曽志崎の露出を少な目にしたのかもしれません。

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とはいえ、中学時代はチームを率いて全国2位となり、
年代別代表にも召集されたことのある曽志崎のこと。
このインターリーグでの活躍により、
これからまた注目を集めることでしょう。

それよりも何よりも、私が気になる事はただ一つ。

  皆さん、浦和邦成はどうしたでせうね?
  ええ、5巻、インターハイ埼玉県予選で、
  蕨青南に勝利したあの浦和邦成ですよ。

  皆さん、あれは好きなチームでしたよ、
  僕はあれから、ずいぶん待っているのですが、
  だけど、いつまでたっても何もないものだから。

今巻の最後ではインターハイ優勝校が出てきましたが、
浦和邦成については何の言及もありませんでした。
果たして浦和邦成は関東予選を通過していたのか。
それならインターハイ本戦ではどうなったのか。

ほんの少しでもいいので、何か情報が欲しい・・・
思わず「ぼくの帽子」調で語ってしまうほど、
浦和邦成を待ち焦がれている僕なのでした。

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posted by 山田工作 at 22:54| Comment(0) | コミックス2019

2019年02月16日

魔入りました!入間くん 9巻 + 六道の悪女たち 13巻

「魔入りました!入間くん」9巻を購読しました。



今巻では、遊園地に遊びにきた入間くんたちの中でも、
7巻での特別教室ゲット活動の時のように、
クラスメイトや周囲の人たちについてフォーカス。
登場人物それぞれについての個性や特徴が披露されます。

実は「遊園地」という明るく楽しい表舞台の裏で、
大きな陰謀が進行する、という緊迫のストーリーなのですが、
それすらもキャラクター紹介のためのイベントと思えるほど、
登場人物たちが魅力たっぷりに動き回ります。

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今までダラダラしてるだけで、常に眠い目をしていた同級生が、
実はまつ毛バッサバサの美少年であったり、
名状し難い外見の同級生が「風使い」だったりと、
これまで謎だった同級生たちの特技が明らかに。

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同級生たちだけでなく、生徒会長のアメリ嬢や、
引率であるカルエゴ先生や執事のオペラさんも活躍。
カルエゴ先生が強いのは分かっていましたが、
彼の先輩でもあるオペラさんも強かった。
伊達に今巻の表紙を飾っていません。

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自分よりも遙かに大きな魔獣に殴りかかるオペラさん。
単純に身体能力の高さで物理攻撃するタイプなのでしょうか。
見た目のスマートさとのアンバランスさが何とも言えません。

そんな中で、一番良かったのがウァラク・クララ嬢。
色んなコスチュームに着替えられる写真館にて、
いつものようにおちゃらけていたのですが、
凄腕のフィッターによって素敵なドレス姿に。

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思いの外グラマーだったクララ。
前巻での、入間との結婚話になった時のテレ顔といい、
普段の道化師っぷりとのギャップが素晴らしい。

いつも凛々しいアメリ嬢がデレてる時の表情といい、
いつも厳ついカルエゴ先生が可愛い使い魔になったりと、
ギャップ萌えに溢れているのが「入間くん」の魅力ですね。

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「六道の悪女たち」13巻も購読しました。



ギャップ萌えとはちょっと違いますが、
乱奈がこれまでとは全く違う表情を見せてくれました。

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この時、乱奈はつばきと普通に会話をしていました。
六道以外からの話し掛けを全て無視していた頃はもとより、
デート着を女子勢みんなで買いに行った時と比べても、
ごく自然に話しができるようになっています。

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鬼島連合との抗争や温泉旅行などを通じて、
乱奈の中では何か確実な変化が起きているようです。

一方で六道たち男性陣は、前巻で登場した、
「悪い心を鎮めることのできる陰陽術の数珠」こと、
「愚連無輪」(ぐれむりん)を手に入れるため、
山奥まで来たところで新たな悪女と出会います。

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カンフーの達人であり、カンフーは凶器だと言い切る、
かなり暴力傾向の強い悪女、鈴蘭(りんらん)。

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暴力を好む性格から乱奈と似たタイプの悪女と言えますが、
やはり乱奈と同様、六道にあっさりと惚れてしまいます。

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ここまでは今まで登場した悪女たちと同じ展開なのですが、
鈴蘭の場合、とても気になる描写がありました。

悪女となり、自分に惚れた鈴蘭に対し、
六道はカンフーを教えて欲しいと願い出ます。
六道に惚れている鈴蘭はもちろんそれを受け入れるのですが、
修行を通じて六道の真摯な人柄に触れた悪女の鈴蘭は、
次第に心情の変化を見せるようになっていきます。

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「六道の悪女たち」は人間の変化を描いた作品であり、
六道に惚れた悪女や六道の周囲に集まった人々、そして六道自身が、
人と人との関わりの中で、時間をかけて変化していくことが、
この作品の一番重要な部分です。

この変化を、人との交流や時間経過などをすっとばして、
一瞬で完了させてしまうのが愚連無輪です。
この数珠を身につけた瞬間、悪い心は消え失せてしまいますが、
六道との交流を経て、心情に変化の兆しを見せていた鈴蘭が、
天女の如き人格になった途端、六道への好意を失ってしまいました。

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と言っても、これまでの記憶を失ったわけではなく、
六道への好意と、それにより起こった心情の変化だけが、
まるでリセットボタンを押したかのように無くなっています。

悪女であるかどうかによって、六道への気持ちがガラッと変わる。
何気ないコマでしたが、相当重要な事実です。

今巻冒頭で六道は、自分の「術」が失われた時の、
自分と乱奈との関係を危惧していました。
しかし、もし乱奈から悪の心が無くなってしまった場合、
乱奈と六道の関係は一体どうなってしまうのか。
ひょっとしたら、悪の心の消失に伴い、
六道への想いも消えてしまうのでしょうか。

これまで登場した悪女たちは「術」がきっかけで六道に惚れ、
その後起きた問題を六道と一緒に乗り越えることによって、
好意以上の信頼関係を六道と築いていきました。
ある意味、術を乗り越えて新たな人間関係を築くことが、
この作品のメインテーマであると言えます。

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それは何も、六道と悪女の間に限ったことではなく、
六道の周りに集った全ての人の関係ついて言えることで、
乱奈とつばきが普通に会話をしていた場面からも、
人間関係の変化が良く見てとれます。

こういう人間関係の変化があることを考えれば、
六道と乱奈の関係は、そう簡単には破綻しない。
そう思いたいところなのですが、
鈴蘭が見せた愚連無輪の影響力の強さは、
ちょっと不安を感じるレベルのものでした。

便利で強力な道具を使うことには怖さやリスクが伴う。
そういう警告を込めたエピソードなのだと思いますが、
今の乱奈にコレが使われたとしたら・・・?

六道と乱奈の先行きに不安を覚える、
そんな感じの巻となりました。

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posted by 山田工作 at 21:59| Comment(2) | コミックス2019

2019年02月03日

トクサツガガガ 15巻

NHKで実写ドラマ化された影響でしょうか。
当ブログの「トクサツガガガ」に関する昔の記事が、
掘り返されるようにポツポツと読まれています。
テレビの影響力の大きさを改めて感じております。

さて、そんな「トクサツガガガ」の15巻を購読しました。



劇中劇である「獣将王(ジュウショウワン)」の放映終了が迫り、
主人公、仲村叶さんの母親との最終決戦も近いとあってか、
作品内での時間経過がとてもゆっくりとなっています。

かつて登場したキャラたちの再登場が多いのも特徴で、
過去のネタを振り返りつつ新たなネタを積み上げる構成から、
この作品も長い連載になっているのだなあという事を実感します。

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仲村の同僚、チャラ彦の友人の登山家さん。
登山というとオタクとは全く対照的のように思いますが、
何か一つの事にハマった人間の行動というのは、
実はそれほど違いがないのだなあということが、
熱い登山家である彼との会話から分かります。

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仲村がちょくちょく訪れる玩具店のおやじさん。
彼からはオタク的な趣味を職業とする上での苦労と、
「今を生きる」ことの大切さを教えられます。

登山家の人も玩具店のおやじさんも、
ある意味「オタク側」にいる人間ですが、
それ以外の、オタク趣味とはあまり縁の無い人たちからも、
様々なネタが提供されるのもこの作品の魅力の一つ。

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仲村の同僚で1巻からずっと登場している、
白石マイさんと藤井マコさんのOLコンビ。
彼女たちからは、男女の仲といった人生における普遍のテーマや、
普通に暮らす中でオタク趣味にも大いに通ずる視点など、
これまでも多くのネタが提供されてきていますが、
今回のネタは「隠し事」、そして「ネタバレ」。
オタクに限らず、秘密を隠して生きる難しさを実感させられます。

そして今巻の中で最も自分の心を打ったのが、
「間口の狭いTシャツとか作って、なんかメリットあるん?」
という仲村の問いに、仲村の兄が答えたシーン。

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「俺らがしたいことしたら悪いんか?」

まず、自分がしたいことをやる。やりたいことをやる。
その欲求を満たせなければ、好きな事などやってられない。
趣味を続けていく上で、とても大切な考え方だと思います。

ワンフェス向けにマイナーなフィギュアを作ってる身としては、
まず自分が楽しむという姿勢を大事にしていこうと思いました。

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ええ、決して負け惜しみでも何でもなく。

さて、いよいよ母親と対決するための旅に出る仲村ですが、
それに同行する吉田さんと北代さんももちろん大活躍。

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ドルオタ(アイドルオタク)である北代さんは、
「獣将王」が終わってしまうことを悲しむ仲村に対し、
何の予告も無しに消えてしまうこともあるアイドルを例に、
終わりではなく「卒業」なのだと気付かさせる好プレー。
(「卒業」を最初に口にしたのは吉田さんでしたが)
何事も言い方だなあと思わせるエピソードです。

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吉田さんは吉田さんで、自身の仕事で抱える闇や、
幼少期からの好きな作品「サザンクラウザー」を例に、
一見無駄に思えることでも、先々役に立つこともあると、
仲村が辛さで折れてしまわぬよう支えてくれています。
(とはいえ、結構他人事な感じではありますが)

そして、吉田さんイチオシの「サザンクラウザー」。
何とコミックスカバー下に描き下ろしの最終回が。
その内容の、余りにも見事な投げっぱなしでの終わり方や、
特撮のコミカライズにありがちな聞いたこともない作者名など、
細かいところへのこだわりに溢れているのが素晴らしい。

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「サザンクラウザー」のOVAについての説明では、
VHS」に※印の注釈がついているというのが衝撃的。
もうビデオテープは現代の物ではなくなっているという、
年輩者には厳しい現実が突きつけられます。
ただ懐かしがらせるだけでなく、不意に読者をも切りつけてくる。
そんなキビシサも持ち合せている作品なのです。

そして今巻一番の衝撃が最後の最後に。
見開きで倒れるシシレオーと、
巻末予告に踊る「最終回」の文字・・・。

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仲村たちの旅はまだまだこれからだ!

posted by 山田工作 at 00:12| Comment(0) | コミックス2019
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