2018年06月26日

さよなら私のクラマー 6巻 その2

さよなら私のクラマー6巻の感想の続きです。

高校総体の県大会において浦和邦成に破れた蕨青南。
その後、実戦経験の少なさを補うためエントリーした、
関東の有力校が揃うJKFBインターリーグにおいて、
見事予選を突破し、決勝トーナメントに進出。

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決勝トーナメントに参加するのは4チーム。
準決勝で対戦することになった千葉の栄泉船橋は、
かつて蕨青南が練習試合で大敗した久乃木学園を、
高校総体関東大会で破ったチームでした。

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チームを率いるは、今巻の表紙を飾っていた浦川茜。
5巻ではほんの数コマの登場で名前も出ていなかったため、
「誰?」と感じた人は結構いたのではないでしょうか。
しかし、今巻では間違いなく主役の一人でした。

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小さい頃から独自のサッカー観を持っていた彼女は、
強豪ではない高校に入り、一からサッカー部を作り直し、
指導者不在の中、部員たちの意見を汲み取りながら、
県下最強となるまでに育て上げてきました。

最初、キャプテンとしてチームを率いるだけでなく、
監督のような役割も担っている彼女は、
深津監督との対比なのかな、と感じていました。

選手として、指導者として挫折を経験した深津監督に対し、
現役で、選手としてだけでなく監督的な役割もこなす茜は、
一見したところ対照的に見えたので。

でも、今はそれはちょっと違うかな、と感じています。
茜の、選手自らが創意工夫でチームを強くしていく姿は、
深津監督を強く刺激する存在なのではないかと考えます。
指導者としての姿勢に問題を抱えている深津監督にとって、
指導者不在のまま勝ち進むチームというのは、
強烈なインパクトがあると思うので。

そして、茜が三年生であることが、
前回、深津監督がワラビーズの最大の敵になるのでは?
という考えに至るきっかけになりました。

最上級生である茜は、来年のチームにはいません。
栄泉船橋の体制は大きく揺らぐことになるでしょう。
そこに、ワラビーズのみんなから勇気とやる気をもらい、
復活を遂げた深津監督がやって来て、チームを更に強化し、
最強の敵としてワラビーズの前に立ち塞がる。
そんなストーリーが、ふっと浮かんだのです。

まあ、今の試合すらまだ終わってない状況であり、
全くの個人的な空想でしかないのですが、
深津監督の過去についてのエピソードと、
三年生が率いる指導者不在の高校が同時期に登場したのは、
何か今後の伏線になりうるのでは、と考えた次第です。

さて今巻では、レギュラーだったものの名前が出てなかった、
ワラビーズの5番とゴールキーパーの名前が判明しました。

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1番、加古川香梨奈(2年)。ゴールキーパー。

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5番、小紫佐織(2年)。左サイドバック。

他のメンバーより遅れた分、丁寧な紹介となっているような。
何はともあれ、これでレギュラー全員の名前が分かりました。
その上で、チーム内での呼び名や愛称も分かってきました。

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GKの加古川は名字と名前を縮めて「カコカリ」、
御徒町は「オカッチ」小紫は「コム」と、名字が長い人は、
同学年だけでなく後輩からも省略して呼ばれています。
これは「名前の長い人あるある」なのでしょうか。

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また二年生同士では、岸は「歩」、菊池は「類」と、
下の名前で呼ばれていました。
選手間の仲の良さが伺えますが、
一方で田勢だけは同級生からも後輩からも、
愛称や下の名前でなく名字のまま呼ばれています。

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本人の真面目さ故か、はたまたキャプテンという役割からか。
おそらく両方の理由からだと思いますが、
付き合いの長い宮坂ですら「田勢」と呼んでいるあたり、
もうそれがずっと定着してしまってるんでしょうね。
音としては「たせ」の2音で呼びやすいですし。

また、田勢の下の名前が「恵梨子」と可愛らしく、
「えりこ」や「えり」、ましてや「えりりん」では、
本人のイメージにそぐわない、というのもあるでしょう。
この辺、浦和邦成の安達太良アリスが「アリス」ではなく、
「アダ」と呼ばれているのと似た雰囲気があるような。

さて、そんな田勢は宮坂のことを「宮坂」と呼んだり、
「みや」と呼んでみたり。

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きっと子供の頃はずっと「みや」だったのでしょうね。
それが長じるに従い、何となく「宮坂」に変わっていったと。
それでも、試合中の気が急いている時などは、
つい子供のころから馴染んだ呼び方が出てしまうという。

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呼び方ひとつ取っても、キャラ同士の関係が見えてくる。
こういう作品は読む楽しさがたくさんあって良いですね。

しかし幼少時の田勢の、何と可愛らしいことか。
今巻では他に浦河茜と森乃つぐみの幼少時が描かれましたが、
幼馴染みである二人の過去が描かれることで、
キャラクターに深みが出てきていて良いなあと思うと同時に、
であれば、宮坂の幼少時の描写も欲しかったなあ、
チビっ子の宮坂が見たかったなあ、と思ってしまいます。

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今巻以外で、これまでに幼少時の描写があったキャラは、
恩田希と越前佐和、フットサルの時の井藤春名と九谷怜、
あとは浦和邦成の安達太良アリスと天馬夕くらい。
主役級では曽志崎と周防が、未だ描かれていません。
全てのキャラについてとまでは言いませんが、
せめて曽志崎と周防、それに宮坂、
そして何より桐島千花の幼少時の姿が見たいのです。

そもそも浦和邦成は関東大会でどうなったのか。
チカ先輩はいつになったら再登場するのか。

冒頭の「準決勝なんて〜」という宮坂の言葉についても、
これは蕨青南高校に入ってからのことなのか、
それとも子供時代も含めてのことなのか。

1巻でチカは田勢のことを認めている発言をしていましたが、
同学年の二人の関係はどういったものなのか。
そこに宮坂は絡んでいるのかどうなのか。

今の試合以外にも、気になることはたくさんあります。
いつかそれらについて描かれる時が来ることを信じ、
今後も長く連載が続くことを願うばかりなのです。

posted by 山田工作 at 22:43| Comment(0) | コミックス2018

2018年06月21日

さよなら私のクラマー 6巻

「さよなら私のクラマー」6巻を購読しました。



いきなり恩田のオウンゴールで始まった今巻。

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恩田の泣き所は、実戦経験の少なさでしょう。
中学時代、男子と一緒だったサッカー部では不遇で、
試合に出させてもらえなかったことが、
ここにきて色々と影響しているように見えます。
高校総体予選の初戦でも体調管理に失敗してましたし。

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それでも、持ち前のポテンシャルの高さと、
何より、チームメイトや指導者に恵まれ、
サッカーを満喫できているのが素晴らしい。

「私達 フットボールをしてるよ」

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試合の最中であるにも関わらず、
試合ができる喜びから、つい呟いてしまった恩田。
そして恩田から語りかけられた周防もまた、
中学時代のサッカーでは不遇を囲っていました。

自身は能力の高い選手ながらチームメイトに恵まれず、
同じ地元の曽志崎が全国3位と躍動する一方で、
地元でくすぶったまま、世に出ることはありませんでした。

しかし曽志崎に誘われ、行動を共にするうち、
中学時代には得られなかった一緒に戦う仲間を得て、
今は充実したサッカーライフを送っています。

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「私は あんたたちと出会ってから
   ずっとフットボールをしてるよ」

中学時代とは一変した今の環境がいかに心地良いか、
周防のこの言葉にはとても実感が込められています。

さて、その周防が進学前にシンパシーを感じ、
蕨青南に入学するきっかけになったのが田勢ですが、
彼女にしても、上級生が揃って退部してしまうという、
とても辛い出来事を体験をしています。

その元凶だったのが、深津吾朗監督。
彼の、あまりにも不真面目な指導態度が、
上級生の一斉離脱を招いたワケですが、
その深津監督もまた、過去に辛い経験をしていました。

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サッカーの才能に恵まれ、サッカーに夢を見た彼でしたが、
選手としては怪我が元で引退せざるをえず、
その上、指導者としても強烈な挫折を味わっていました。

今の、全くやる気のない深津監督の姿からは、
サッカーに対する情熱は感じられません。
選手への対応はぞんざいで、口も悪く、
どこか突き放したような態度で接しています。

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しかし、サッカーへの興味を失ったわけでも、
ましてやサッカーを嫌いになったわけでもないようです。

今巻の終盤、対戦相手から押し込まれ、
窮地に陥っていたワラビーズでしたが、
センターバックの宮坂のひと蹴りが、
ピンチを一転、チャンスへと変えました。

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守勢から攻勢へと転じる、起死回生のロングフィード。
これまでは守備に専念し、攻撃参加など考えなかった宮坂が、
反撃への起点となるパスを蹴り出すことができたのは、
他ならぬ深津監督のアドバイスがあったからです。

「俺を信じろとは言わん
 何千回 何万回とボールを蹴ってきた
 お前らの足を信じろ」

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この言葉からは、深津監督がまだサッカーを信じ、
サッカーを愛していることが窺えます。

ただ、「俺を信じろとは言わん」という部分からは、
彼が、自分自身のことを信用できてないように感じられます。
ひょっとしたら深津監督は、過去の挫折によって、
自身の指導力に疑問を抱いているのかもしれません。

自分には、チームをまとめる力量が無いのではないか。
本気で指導しても、結果を出せないのではないか。
そんな、恐怖にも似た不安を抱えており、
それがあの不真面目な態度に繋がっているのかもしれません。

ですが、深津監督に指導力があることは明らかです。
これまでの、恩田や宮坂らへのアドバイスは的確でしたし、
成り行きで担当することになった守備陣も、
きっちりレベルを上げてきています。

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そして、恩田をはじめとする蕨青南の選手たちや、
新年度から一緒に指導をしている能見コーチも、
何だかんだ言いつつも彼のことを認めています。
深津監督もまた、ちゃんとチームの一員なのです。

ワラビーズには、サッカーで挫折や辛い経験を味わい、
それでも決して諦めることなくサッカーを続け、
サッカーを楽しんでいる女の子が何人もいます。

一生懸命でひたむきな彼女たちの姿に、
傷ついた大人が癒され、励まされる。
それもこの作品の一つのテーマなのかもしれません。

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でもまあ、深津監督が完全復活するのは、
物語の終盤か、エピローグでのことだろうと思います。
もしくは、ワラビーズに対する最後の、
最大の敵として立ちはだかるとか。

そんな展開を夢想したりしています。

posted by 山田工作 at 22:43| Comment(0) | コミックス2018

2018年06月13日

残念女幹部ブラックジェネラルさん 4巻

「残念女幹部ブラックジェネラルさん」4巻を購読しました。



一冊丸ごとヴィランとヒーローの全面対決という、
この作品初の長編シリーズとなっていた今巻。

これまでの単発ギャグ漫画形式から一転、
シリアスさの漂うストーリーが展開されており、
前半は今まで通りの読み切り形式で進行するものの、
それら全てに長編へのフリが細かく仕込んであるという、
かなり凝った構成となっています。

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ヴィラン側もヒーロー側も新キャラが数多く登場し、
しかもそれぞれがちゃんと活躍している上に、
旧キャラたちも存分に目立っているという、
キャラクター漫画としても優秀な作り。

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さらに、長編としてはほぼ主題を描き切りながらも、
「描きたかったものは次回に持ち越し」
などと、次巻への引きを「あとがき」で語るあたり、
jin先生の策士っぷりが窺えます。

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魅力的なキャラによるショートギャグ漫画だけでなく、
ギャグ要素とキャラの魅力を随所に散りばめながら、
長いストーリー作品もイケることを示した今巻。

今後の展開がますます楽しみです。

posted by 山田工作 at 19:41| Comment(0) | コミックス2018

2018年06月10日

平成最後の5月

5月に購読したコミックスをまとめてご紹介。

六道の悪女たち 9巻



ついに鬼島連合編が決着。
敵も味方もみんな傷つき、疲れ果てた戦いでしたが、
その果てに得たものはとても大きいものでした。

六道や乱奈たちが得たものがあるのは当然として、
敵方で、敗れた童子たちにも得るものがあったのが、
この作品らしいといえばらしい。
長編エピソードの最後に相応しい終わり方でした。

さて、次の章に移る前に単発エピソードが数本。
いつもの展開ではあるのですが、
そこに突然現れたのが「乱奈先生」

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なんという魅力でしょうか。
ヤンキー系美人に眼鏡は似合い過ぎる…。
単発エピソードながら見事に心奪われました。


魔入りました!入間くん 5巻



六道での乱奈先生に次いで、
謎の新人アイドル、いるみ爆誕。
この作品での入間くんは主人公でありヒロインなのですが、
こうもアッサリと女装姿が見られるとは。

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六道も入間くんも巻末の描き下ろし漫画があって、
読み応えのある、満足度の高いコミックスになっています。


みっちゃんとアルバート 1 巻



一人暮らしの女子大生、花室みつこ=みっちゃんと、
そこに転がり込んだ熊型宇宙人アルバート。
二人が主人公のシュールギャグ4コマ漫画。

ぶんぶくタヌキ」の森長あやみ先生の作品だけに、
可愛らしい絵柄と毒気のあるネタの組み合わせが味わい深い。

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みっちゃんの後輩で伊藤サキという娘も登場するのですが、
この娘もまた、可愛らしくも独自の感性。
独特な間合いをもつキャラ同士のかけあいが魅力の作品です。


ふたりモノローグ 4巻



前巻でも取り上げたキャラなのですが、
実はこの作品の真のヒロインは洸ちゃんなのでは?

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みかげとは良い関係の友達同士であり、
佐呂間ちゃんからは特異な好意を持たれ、
ひなたからは一目置かれている。
そして女子サッカー部員は全員揃って「はすもん親衛隊」。

誰からも愛されるスーパーな女子高生、
それが蓮茂台洸ちゃんなのです。


トゥインクルスターのんのんじーSUN



14年ぶりの新刊というのも驚きですが、
個人的には、当時近所にあった弁当屋で1巻を読んだことを、
20年以上経った今でも鮮明に覚えていたことに驚きました。
漫画を読んだ経験が、過去の記憶を呼び覚ましてくれる。
なかなか貴重な感覚を味わえました。

コミックスの内容は、いつもの竹本泉作品。
どれだけ時を重ねようとも変わらぬ作風はもう流石としか。
前巻同様、今巻でもゲストの方が多く寄稿されていますが
やはり竹本先生の持つ味には敵わない。
唯一無二、絶大な存在感を持つベテラン作家です。


猫のお寺の知恩さん 7巻



確か「バクマン」だったと思うのですが、
「何でもない日常を描いた漫画が面白ければ最強じゃね?」
というようなことが言われていました。

それは、この作品に言えることなのでは?

田舎のお寺に住む男女と猫を中心に、
日々起こることを淡々と、丁寧に描くことで、
とても魅力的な漫画となっているこの作品を読むと、
そう考えずにはいられないのです。

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そして時折、唐突にぶっ込まれるフェチ要素。
これがまたこの作品の魅力を高めてくれています。

視覚情報が何よりのインパクトを持つのが漫画。
考えるな、感じろ。
この世界です。


トクサツガガガ 13巻



ついに仲村さんが母親と直接対決。
それは唐突で、あまりに衝撃的で、
読んでいて、本を持つ手が震えるほどでした。

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その後に登場した吉田さん北代さんの安心感よ・・・。
仲村さん同様、彼女らに救われました。
趣味や嗜好に理解のある人が周りいることは、
何よりの助けになるものですね。


今年の5月は個人的に辛い出来事があって、
このブログを更新することはできませんでした。
そんな中で、ネットで注文していた新刊が次々届き、
何となしにでもそれらを読むことが息抜きとなり、
色々と救われました。

ゲームや造形といった能動的な趣味はまだ無理ですが、
漫画を読むという手軽な楽しみがあったことで、
大変だった期間や、辛いことを受け入れていく間に、
心の余裕を持つことができたように感じています。

漫画って、やはり良いものです。

posted by 山田工作 at 18:21| Comment(0) | コミックス2018
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