2018年06月21日

さよなら私のクラマー 6巻

「さよなら私のクラマー」6巻を購読しました。



いきなり恩田のオウンゴールで始まった今巻。

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恩田の泣き所は、実戦経験の少なさでしょう。
中学時代、男子と一緒だったサッカー部では不遇で、
試合に出させてもらえなかったことが、
ここにきて色々と影響しているように見えます。
高校総体予選の初戦でも体調管理に失敗してましたし。

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それでも、持ち前のポテンシャルの高さと、
何より、チームメイトや指導者に恵まれ、
サッカーを満喫できているのが素晴らしい。

「私達 フットボールをしてるよ」

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試合の最中であるにも関わらず、
試合ができる喜びから、つい呟いてしまった恩田。
そして恩田から語りかけられた周防もまた、
中学時代のサッカーでは不遇を囲っていました。

自身は能力の高い選手ながらチームメイトに恵まれず、
同じ地元の曽志崎が全国3位と躍動する一方で、
地元でくすぶったまま、世に出ることはありませんでした。

しかし曽志崎に誘われ、行動を共にするうち、
中学時代には得られなかった一緒に戦う仲間を得て、
今は充実したサッカーライフを送っています。

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「私は あんたたちと出会ってから
   ずっとフットボールをしてるよ」

中学時代とは一変した今の環境がいかに心地良いか、
周防のこの言葉にはとても実感が込められています。

さて、その周防が進学前にシンパシーを感じ、
蕨青南に入学するきっかけになったのが田勢ですが、
彼女にしても、上級生が揃って退部してしまうという、
とても辛い出来事を体験をしています。

その元凶だったのが、深津吾朗監督。
彼の、あまりにも不真面目な指導態度が、
上級生の一斉離脱を招いたワケですが、
その深津監督もまた、過去に辛い経験をしていました。

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サッカーの才能に恵まれ、サッカーに夢を見た彼でしたが、
選手としては怪我が元で引退せざるをえず、
その上、指導者としても強烈な挫折を味わっていました。

今の、全くやる気のない深津監督の姿からは、
サッカーに対する情熱は感じられません。
選手への対応はぞんざいで、口も悪く、
どこか突き放したような態度で接しています。

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しかし、サッカーへの興味を失ったわけでも、
ましてやサッカーを嫌いになったわけでもないようです。

今巻の終盤、対戦相手から押し込まれ、
窮地に陥っていたワラビーズでしたが、
センターバックの宮坂のひと蹴りが、
ピンチを一転、チャンスへと変えました。

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守勢から攻勢へと転じる、起死回生のロングフィード。
これまでは守備に専念し、攻撃参加など考えなかった宮坂が、
反撃への起点となるパスを蹴り出すことができたのは、
他ならぬ深津監督のアドバイスがあったからです。

「俺を信じろとは言わん
 何千回 何万回とボールを蹴ってきた
 お前らの足を信じろ」

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この言葉からは、深津監督がまだサッカーを信じ、
サッカーを愛していることが窺えます。

ただ、「俺を信じろとは言わん」という部分からは、
彼が、自分自身のことを信用できてないように感じられます。
ひょっとしたら深津監督は、過去の挫折によって、
自身の指導力に疑問を抱いているのかもしれません。

自分には、チームをまとめる力量が無いのではないか。
本気で指導しても、結果を出せないのではないか。
そんな、恐怖にも似た不安を抱えており、
それがあの不真面目な態度に繋がっているのかもしれません。

ですが、深津監督に指導力があることは明らかです。
これまでの、恩田や宮坂らへのアドバイスは的確でしたし、
成り行きで担当することになった守備陣も、
きっちりレベルを上げてきています。

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そして、恩田をはじめとする蕨青南の選手たちや、
新年度から一緒に指導をしている能見コーチも、
何だかんだ言いつつも彼のことを認めています。
深津監督もまた、ちゃんとチームの一員なのです。

ワラビーズには、サッカーで挫折や辛い経験を味わい、
それでも決して諦めることなくサッカーを続け、
サッカーを楽しんでいる女の子が何人もいます。

一生懸命でひたむきな彼女たちの姿に、
傷ついた大人が癒され、励まされる。
それもこの作品の一つのテーマなのかもしれません。

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でもまあ、深津監督が完全復活するのは、
物語の終盤か、エピローグでのことだろうと思います。
もしくは、ワラビーズに対する最後の、
最大の敵として立ちはだかるとか。

そんな展開を夢想したりしています。
posted by 山田工作 at 22:43| Comment(0) | コミックス2018

2018年06月13日

残念女幹部ブラックジェネラルさん 4巻

「残念女幹部ブラックジェネラルさん」4巻を購読しました。



一冊丸ごとヴィランとヒーローの全面対決という、
この作品初の長編シリーズとなっていた今巻。

これまでの単発ギャグ漫画形式から一転、
シリアスさの漂うストーリーが展開されており、
前半は今まで通りの読み切り形式で進行するものの、
それら全てに長編へのフリが細かく仕込んであるという、
かなり凝った構成となっています。

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ヴィラン側もヒーロー側も新キャラが数多く登場し、
しかもそれぞれがちゃんと活躍している上に、
旧キャラたちも存分に目立っているという、
キャラクター漫画としても優秀な作り。

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さらに、長編としてはほぼ主題を描き切りながらも、
「描きたかったものは次回に持ち越し」
などと、次巻への引きを「あとがき」で語るあたり、
jin先生の策士っぷりが窺えます。

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魅力的なキャラによるショートギャグ漫画だけでなく、
ギャグ要素とキャラの魅力を随所に散りばめながら、
長いストーリー作品もイケることを示した今巻。

今後の展開がますます楽しみです。
posted by 山田工作 at 19:41| Comment(0) | コミックス2018

2018年06月10日

平成最後の5月

5月に購読したコミックスをまとめてご紹介。

六道の悪女たち 9巻



ついに鬼島連合編が決着。
敵も味方もみんな傷つき、疲れ果てた戦いでしたが、
その果てに得たものはとても大きいものでした。

六道や乱奈たちが得たものがあるのは当然として、
敵方で、敗れた童子たちにも得るものがあったのが、
この作品らしいといえばらしい。
長編エピソードの最後に相応しい終わり方でした。

さて、次の章に移る前に単発エピソードが数本。
いつもの展開ではあるのですが、
そこに突然現れたのが「乱奈先生」

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なんという魅力でしょうか。
ヤンキー系美人に眼鏡は似合い過ぎる…。
単発エピソードながら見事に心奪われました。


魔入りました!入間くん 5巻



六道での乱奈先生に次いで、
謎の新人アイドル、いるみ爆誕。
この作品での入間くんは主人公でありヒロインなのですが、
こうもアッサリと女装姿が見られるとは。

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六道も入間くんも巻末の描き下ろし漫画があって、
読み応えのある、満足度の高いコミックスになっています。


みっちゃんとアルバート 1 巻



一人暮らしの女子大生、花室みつこ=みっちゃんと、
そこに転がり込んだ熊型宇宙人アルバート。
二人が主人公のシュールギャグ4コマ漫画。

ぶんぶくタヌキ」の森長あやみ先生の作品だけに、
可愛らしい絵柄と毒気のあるネタの組み合わせが味わい深い。

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みっちゃんの後輩で伊藤サキという娘も登場するのですが、
この娘もまた、可愛らしくも独自の感性。
独特な間合いをもつキャラ同士のかけあいが魅力の作品です。


ふたりモノローグ 4巻



前巻でも取り上げたキャラなのですが、
実はこの作品の真のヒロインは洸ちゃんなのでは?

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みかげとは良い関係の友達同士であり、
佐呂間ちゃんからは特異な好意を持たれ、
ひなたからは一目置かれている。
そして女子サッカー部員は全員揃って「はすもん親衛隊」。

誰からも愛されるスーパーな女子高生、
それが蓮茂台洸ちゃんなのです。


トゥインクルスターのんのんじーSUN



14年ぶりの新刊というのも驚きですが、
個人的には、当時近所にあった弁当屋で1巻を読んだことを、
20年以上経った今でも鮮明に覚えていたことに驚きました。
漫画を読んだ経験が、過去の記憶を呼び覚ましてくれる。
なかなか貴重な感覚を味わえました。

コミックスの内容は、いつもの竹本泉作品。
どれだけ時を重ねようとも変わらぬ作風はもう流石としか。
前巻同様、今巻でもゲストの方が多く寄稿されていますが
やはり竹本先生の持つ味には敵わない。
唯一無二、絶大な存在感を持つベテラン作家です。


猫のお寺の知恩さん 7巻



確か「バクマン」だったと思うのですが、
「何でもない日常を描いた漫画が面白ければ最強じゃね?」
というようなことが言われていました。

それは、この作品に言えることなのでは?

田舎のお寺に住む男女と猫を中心に、
日々起こることを淡々と、丁寧に描くことで、
とても魅力的な漫画となっているこの作品を読むと、
そう考えずにはいられないのです。

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そして時折、唐突にぶっ込まれるフェチ要素。
これがまたこの作品の魅力を高めてくれています。

視覚情報が何よりのインパクトを持つのが漫画。
考えるな、感じろ。
この世界です。


トクサツガガガ 13巻



ついに仲村さんが母親と直接対決。
それは唐突で、あまりに衝撃的で、
読んでいて、本を持つ手が震えるほどでした。

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その後に登場した吉田さん北代さんの安心感よ・・・。
仲村さん同様、彼女らに救われました。
趣味や嗜好に理解のある人が周りいることは、
何よりの助けになるものですね。


今年の5月は個人的に辛い出来事があって、
このブログを更新することはできませんでした。
そんな中で、ネットで注文していた新刊が次々届き、
何となしにでもそれらを読むことが息抜きとなり、
色々と救われました。

ゲームや造形といった能動的な趣味はまだ無理ですが、
漫画を読むという手軽な楽しみがあったことで、
大変だった期間や、辛いことを受け入れていく間に、
心の余裕を持つことができたように感じています。

漫画って、やはり良いものです。
posted by 山田工作 at 18:21| Comment(0) | コミックス2018

2018年04月28日

愛気-S- 9巻 + 幼女戦記 9巻

「愛気ーS」9巻を購読しました。



今巻が最終巻となりました。
取り急ぎ、広げた風呂敷をパタパタと畳んだような終わり方で、
カラス編やヴェロニカ編のようなスッキリ感はイマイチ。

原因としては、今回の最強格闘家であったカサンドラに対し、
承久が負けっぱなしのまま終わりを迎えてしまったことと、
敵方の切り札があまりにヘボかったこと、
あたりが挙げられるでしょうか。
何となく尻切れトンボな感じがしてしまいます。

それでも今回のアメリカ編は、カサンドラを筆頭に、
とても魅力的なキャラが数多く登場しましたし、
何よりヴェロニカの可愛らしい面が結構見られたので、
満足度は高いエピソードでした。

今回で「愛気」シリーズは終了。
てっきり新シリーズに続くと思っていたのですが、
今後、ISUTOSHI先生は新作を始めるとのこと。

これはこれで楽しみなのですが、
承久たちの今後についても気になるところ。
これっきりで見れなくなるのはあまりに寂しいのです。
ヴェロニカ主人公のスピンオフとか、どうでしょうか。

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まあひょっとしたら、また再開ということもあり得そうなので、
新作を楽しみつつ、気長に待つとしましょう。


「幼女戦記」9巻も購読しました。



奇しくも「愛気」と同じ9巻ですが、
こちらはまだまだ続きます。

今巻巻頭では、この作品世界における魔法とはどんなもので、
魔導士はどんな存在であるのかが説明されました。
今更、という感が無いでもありませんが、
こういった設定がちゃんと説明されると、
作品の世界観がぐっと深まって良いですね。

この説明に合わせ、子供時代のデグさんが登場。
今も昔も、デグさんはデグさんなのだなあと感じさせてくれます。

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そして現在進行する時間軸に戻ってのデグさん。
とても現実的に、合理的に、打算的に行動し、
部隊を率い、粛々と戦闘行為を行います。

美少女であり、主人公なのですが、
ほとんど悪のラスボスといった雰囲気です。

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そして、デグさんと対比させるためでしょうか。
レガドニア協商連合の魔導士、アンソン・スー大佐の娘で、
可憐で無垢な美少女、メアリー・スー嬢が度々登場します。

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父の願いにより、より良い未来を。
母の願いにより、奇跡による守護を。
そして自身の願いにより、強い魔力を。

3つの奇跡を同時に受けた彼女は、
今後帝国の、デグさんの強力な敵となるのでしょう。
そのための伏線が今巻にはありましたし、
冒頭の魔法についての説明も、デグさんだけでなく、
彼女のためのものでもあったのでしょう。

緻密であり、計算された原作の物語と、
美麗な絵が組み合わさって紡がれるこの作品。
今後もより楽しく読むことができそうで嬉しい限りです。
posted by 山田工作 at 23:21| Comment(0) | コミックス2018

2018年04月13日

いそあそび 1巻 + 山と食欲と私 7巻

「いそあそび」1巻を購読しました。



good!アフタヌーン誌で連載中の作品で、
作者の佐藤宏海先生はこれが連載デビューとのこと。

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舞台は瀬戸内の田舎町、星海町。
この港町で暮らす中学生の少年、浦島六郎と、
家庭の事情により星海町で一人暮らしをしている、
六郎と同い年でお嬢様な美少女、村上セトの二人が、
偶然出会ったことにより物語は始まります。

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セトの乏しい食料事情を知った六郎は、
自身の豊富な海の知識を活かして食材を確保します。
二人で海の幸を食らい尽くすのがテーマの作品で、
海の生き物の生態や、食材としての利用の仕方が描かれます。

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漫画サイト「モアイ」で読むことができるので、
まずはそちらをご覧頂くのが一番かと。

海の生物に関する豆知識が面白いだけでなく、
瀬戸内の港町の景色が美しく描かれていて、
丁寧で柔らかみのある絵柄がキャラや情景に良く合っていて、
とても読みやすく、楽しい作品となっています。

試し読みを読んだだけでもその魅力は伝わりますが、
是非コミックスを読んでもらいたい魅力がひとつ。
第1話でちょこっとだけ登場したキャラクターなのですが、
六郎の幼なじみの岬珠子ちゃんがとても印象的なのです。

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太眉、色黒、豊かな体型という外見的特徴と、
優しく、控えめだけど毅然とした物言いが魅力的。

能動的だけどどこか危なっかしい、お嬢様然としたセトに対し、
受動的ではあるものの言動に安定感があり、
地味な中にもキラリと光るモノがある珠子。
この対比が素晴らしいのです。

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まだ始まったばかりであり、海に関する知識も、
町での人間関係もこれからといったところ。
今後どんな風に展開していくのか、とても楽しみな作品です。


「山と食欲と私」7巻も購読しました。



山での食材採集ネタこそありませんが、
山での食事や山遊びの楽しさを教えてくれるこの作品。

今巻では、日常で沈んだ気持ちを抱えていた鮎美が、
登山と山食を通じて自分を取り戻したり、
普段の生活でスマホが手放せなくなっている青年が、
スマホ断ちのために訪れた先で登山に目覚めそうになったりと、
山の持つ効能のようなものが多く描かれていました。

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特に、最初登山を「苦しいだけ」と思っていたスマホ青年が、
その後「登山、いいかも」と思い始めているあたりに、
登山の持つ独特の魅力が表れていますね。

ただ山を登って下りる。
一見、全くの無駄に思える行動ですが、
自分一人の力だけで目標を達成することができ、
自然を感じ、自分を見つめる時間が持てる、
とても良いレジャーだと思います。

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「いそあそび」と「山と食欲と私」。
「海」と「山」という対照的な自然をテーマにした両作品ですが、
そこから感じられる自然観もかなり違っています。

「いそあそび」には、海から食材をいただくことから、
生命の輪というか、全ての命は繋がっているのだという、
自分と自然が一体となっているような感覚があります。

それに対し「山食」での自然は人と隔絶した場所であり、
そこに入る者は自分一人の力で何とかしなければいけないという、
生命の個というか、人間の孤独性を露わにしています。

同じ「自然」をテーマにした作品であっても、
様々な描き方があるということが分かります。

「いそあそび」を読めば海に行ってみたくなり、
「山食」を読めば山に登ってみたくなる。
そんな気にさせてくれる、どちらも素晴らしい作品でした。
posted by 山田工作 at 21:29| Comment(0) | コミックス2018
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