2018年02月21日

さよなら私のクラマー 5巻 その2

「さよなら私のクラマー」5巻の感想の続きです。

以前、「さよなら私のクラマー」のコミックスには、
各巻ごとに主役がいる、というようなことを書きました。
1巻は曽志崎緑。
2巻は佃真央。
3巻は恩田希。
その後4巻が出ましたが、これは桐島千花でしょう。

それでは5巻はというと。
前半ではチカ、ユウ、アダの浦和邦成3人娘が、
中盤以降は蕨青南の能見奈緒子コーチと、
恩田希の幼馴染の越前佐和が目立っていましたが、
個人的に今巻の主役と感じたのは田勢キャプテンでした。

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田勢恵梨子。
蕨青南女子サッカー部部長。
曽志崎たちが入学する直前に上級生が全員退部したため、
2年生の彼女がキャプテンとなりました。

個性豊かで才能溢れる1年生と能見コーチが加わって、
万年地区予選リーグ敗退だったチームが勝ち進み、
今年は違う、これならやれると手応えを掴んでいたのに、県大会の一回戦で浦和邦成に完敗。
しかも、相手に手加減された上で…

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先輩たちが辞めてしまっても自分は残り続け、
練習環境を良くするために男子サッカー部と交渉したりと、
これまでずっと前向きだった彼女も、すっかり落ち込んでいました。

しかし、そんな彼女を元気づけたのは1年生たち。
浦和に完敗した後でも前向きな後輩たちの姿を見て、
彼女もまた、前向きさを取り戻しました。

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田勢キャプテンよりも更に前向きな1年生たちでしたが、
そもそも、1年生のうち曽志崎と周防が蕨青南に来たのは、
他ならぬ田勢がいたことが原因のひとつです。
周防たちが進学先を考えていた時に見た田勢は、
チームから先輩たちが去る中、悲しみを抱えながらも、
ただひたすらにボールを蹴っていました。

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そのひたむきな姿に何かを感じ、
ワラビーズに加わってきた周防と曽志崎。
偶然とはいえ、一緒に加わった恩田や白鳥たち。
そこに、田勢と共に部に残っていた宮坂ら2年生がいて、
コーチに能見が来たことで、今のワラビーズが出来上がりました。

ひょっとしたら、今残っている2年生以外にも、
辞めていった2年生部員がいたのかもしれない。
残っている2年生たちが今いるのも、
田勢が必死に頑張っている姿を見ていて、
辞めずに一緒に続けていたのかもしれない。

誰か一人いなくても、今のチームは無い。
そう考えると、田勢がいたからこそ、
今のワラビーズがあるとも言える。

田勢がいたからこそ集まったチームメイトたち。
そのチームメイトに支えられ、後押しされ、
キャプテンとしてまた前向きになれた田勢。

みんながいたから立ち直れた。
みんながいたから前を向けた。

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「みんなとサッカーができてよかった」

まるで最終回のようじゃあないですか。
「私たちの戦いはこれからだ!」
と言って終わってしまってもおかしくないくらいです。

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まあ実際はそんなことはなく。

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高校総体で敗退したワラビーズは、
関東近郊の高校を対象としたリーグ戦、
JKFBインターリーグに参戦。
急造チームの泣き所である実戦経験を積むことで、
チーム力の底上げを図ります。

巻末の次巻予告には、
「全国に、その名よ轟け」の文字。
嫌が応にも期待は高まります。
今後一体どんな活躍を見せてくれるのか。

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そして密かな注目ポイントとして挙げたいのが、
田勢キャプテンのTシャツの柄。
「ダメ人間」て。

わりと変な柄のTシャツを着ていることが多い彼女。
今後どんな柄のTシャツが登場するのか。
乞うご期待!
posted by 山田工作 at 19:00| Comment(0) | コミックス2018

2018年02月19日

さよなら私のクラマー 5巻

「さよなら私のクラマー」5巻を購読しました。



前巻から引き続き、蕨青南(ワラビーズ)対浦和邦成です。

前巻は、浦和の安達太良アリスがゴールを決めて終わりました。
今巻の冒頭では、その安達太良(アダ)がサッカーを始めた理由と、
そのきっかけとなった天馬夕(ユウ)との出会いが描かれます。

小学3年で出会い、高校2年となるまでの8年、
ずっと一緒にサッカーをしていた二人。
高い身体能力を活かし、自在に動き回るアダと、
彼女の能力を活かすことができるユウ。
この二人が浦和の攻撃の要でした。

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中盤の要にはボランチの桐島千花がおり、
守備はキャプテンを中心に堅い。
統率のとれた、優れたシステムを持つ浦和は、
常勝の強豪校としての実力を如何なく発揮し、
次のステージへと進んで行きました。

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関東予選にて、去年の雪辱を期すチカ。
一方の久乃木の梶は、対戦相手に絡まれた際、
「意外に大きい」と言われたことを気にしている様子。

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以前にちょっと背が高いことに触れましたが、
スポーツ選手ですし、背が高いのは悪くないと思うのですが、
本人とすれば女の子として微妙なトコロなのでしょうね。

この関東予選が始まる前、曽志崎とチカたちが偶然出会い、
曽志崎がチカに誘われていたにも関わらず、
浦和に入学しなかった理由が語られます。

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曽志崎が中学で全国3位になったのを我が事のように喜び、
誰よりも曽志崎のサッカーの才能を認め、
高校でも一緒にプレイできることを楽しみにしていたチカ。

しかし曽志崎は、ずっとチカの姿を見てきて、
自分のチームを作り、楽しそうにサッカーをするチカに憧れ、
自分も自分のチームを作ってみたいと思っていました。

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4巻の感想にて、曽志崎が蕨青南を選んだ理由は、
「強さ」よりも「面白さ」を選んだ結果であると書きました。
そしてそれを選んだ、そう考えるようになった理由は、
他ならぬチカにあったわけです。

味方として一緒に高みを目指すことよりも、
目標を同じくする敵として競い合う道を選んだ曽志崎。
そのことを悲しむようであり、喜ぶようでもあるチカ。
とても道を違えてしまったようには見えず、
むしろ気持ちはより繋がっているように感じられます。

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とはいえ、浦和邦成は次のステージへと進み、
ワラビーズも別のリーグ戦に参戦することになりました。
次に浦和邦成が登場するのはいつになるのやら。

この作品を好きになるきっかけがチカと浦和だったので、
できるだけ早く再登場することを願っております。

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今回、続きます。
posted by 山田工作 at 22:31| Comment(0) | コミックス2018

2018年02月16日

乙嫁語り 10巻

「乙嫁語り」10巻を購読しました。



遂に10巻となった「乙嫁語り」ですが、
今巻は乙嫁たちはほとんど登場しない、
非常に男臭い内容となっています。

前半はカルルクが主役。
アミルの出身部族である遊牧民の中で寝泊まりし、
アミルの兄アゼルや、親戚のジョルク、バイマトらから、
騎馬での弓や鷹狩りなど、狩猟の修行を受けます。

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アミルがちょっと出てくる以外は男ばかり。
ですが、思いの外絵面は華やかです。

カルルクは少年らしい可愛さがあり、
アゼルたちは精悍な若者たち。
見栄えのする男たちが揃っているからでしょう。
バイマト以外は皆、まつ毛バリバリです。

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また、いくらカルルクが可愛いとは言っても、
片腕に鷹を停まらせて騎乗できるあたり、
彼もまた男なのだな、と思わざるを得ません。
遊牧民の男たちが逞しく生きる様子が描かれています。

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動物たちがたくさん描かれているのも嬉しいところ。
遊牧民に関わりのある家畜の様子や、
鷹狩りの鷹の飼育方法や獲物となる動物などが、
とてもリアルに描かれています。

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特に鷹の存在感は圧巻。
そういえば、鷹狩りに使う鷹は全てメスとのこと。
ひょっとして、今巻の乙嫁はこの「鷹」だったのでは…?

後半はスミスとアリの旅程。
前巻で野盗に襲われラクダや荷物を失ってしまい、
安全のためもあって、商隊と行動を伴にしています。

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アンカラに向かう旅の途中、
ペルシアとオスマン帝国の国境あたりを中心に、
当時の商隊の様子や現地の生活や文化が描かれており、
歴史と異文化が強く感じられるお話となっています。

しかしまあ、スミスとアリの旅も随分長くなり、
もはや二人は名コンビといった感じですね。
アンカラに着く前から復路の同行を約束していたりして、
まだまだ付き合いは続きそうです。

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その後、二人は無事アンカラに到着。
スミスは現地の友人から帰国を促されるも、
自身の旅の意義と継続を強く主張。
これまで、彼の旅の目的はややあいまいでしたが、
それが強い決意の下で行われていることが分かりました。

そして、驚きの再会。

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巻末の描き下ろしの「あとがき」では、
「新しい仲間が加わり(中略)11巻への旅がはじまります」
と書かれていましたが、果たして・・・?

今後もますます目が離せない展開となりそうです。
posted by 山田工作 at 22:37| Comment(0) | コミックス2018

2018年02月15日

ファイブスター物語 14巻

「ファイブスター物語」14巻を購読しました。



まずは最初に訂正がございます。

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当ブログの、FSS13巻についての記事にて、
ナルミ・アイデルマさんの体型を表現する際に、
「ちょっと太め」などという言葉を使っておりましたが、
今巻にて、実際はそんなことはないことを確認しました。
謹んでここに訂正いたします。

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一つ言い訳をするならば、正面から見た彼女の顔は、
FSSの女性キャラとしては珍しい、見事なタヌキ顔。
このパッと見の印象で、体型まで決めつけてしまいました。

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今巻でのナルミ隊長は上半身が露出した服装が多く、
そこで見える上腕などは結構がっちりしており、
鍛錬を積んだ騎士らしさを感じます。

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FSSに登場する女騎士たちは、
スリムな体型であることがほとんどです。
(注:ブラウマ・イクを除く。)
中でもアイシャやセイレイ、ツバンツヒなど、
超ド級の強さを誇る騎士たちはスリムなだけでなく、
立ち居振る舞いが優雅で、戦う姿も軽やかであり、
日々の鍛錬とは無縁のような感じがします。

そういった「特別な騎士」たちに対する、
「普通の騎士」っぽさを際立たせるために、
ナルミにはあえて肌を露出した服装をさせ、
腕の太さを見せたのかもしれません。

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エピソード「ツラック隊」の主人公であるナルミ支隊長。
AP騎士なのだからエリートではあるのでしょうが、
突出した強さを持つ「特別な騎士」というわけではありません。
それでも、前任者の戦死に伴い就任した支隊長として、
立派に部隊をまとめ上げ、戦いを続けていました。

偶然出会ったソープたちやツバンツヒを受け入れる懐の深さや、
状況を冷静に把握し、ソープの案に乗って情報戦を仕掛ける明晰さ。
一方で、ハレーに対し感情を露わにして叱りつけたりするなど、
指揮官として優れ、人間的にもとても魅力的な人物です。

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隊員からの信頼が強いのもさることながら、
ソープたちやツバンツヒ、他国のAP騎士団、
果てはコーラスやミラージュの助力を得て、
ツラック隊が戦い抜くことができたのは、
ひとえにこのナルミ支隊長の魅力によるものでしょう。

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大国の思惑が交錯し、綺羅星の如き騎士たちが集う戦場で、
「特別な騎士」というわけでもないナルミが、
「特別な存在」たちの助力を得ながら戦う。
味方の指揮を取るのがナルミなら、敵の狙いもナルミ。
前巻の時点でナルミが好きになっていた身としては、
とても読み応えのある一冊となりました。

さて、ナルミ以外にも見所は盛りだくさん。

特に、これまで設定資料集に名前が載っているだけだった、
各国の団長クラスの騎士たちや有名なファティマたちが、
ズラリと揃って登場していたのは嬉しいところ。

ネットが無かった時代、読者が得られる情報は限られており、
休載の多い連載の合間に時々発売される設定集を熟読しては、
設定やキャラについて考察や想像を巡らしていたものでしたが、
それらが遂に本編に登場したことは感慨深くあります。

また、これまでにサラッと触れていた事柄について、
詳しい説明がなされていたのも嬉しいところです。

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例えば、カイエンとアウクソーのエピソード。
これは7巻のアトロポスの回想シーンが基になっていますが、
7巻が発売されたのは1995年。
20年以上前の、たった1カットについて、
結構なページ数を使っての解説がなされたワケです。

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あと7巻といえば、そこで初登場していたキャラである、
エレーナ・クニャジコーワさんが再々登場。
12巻での再登場の時と同じように、
ローラーウェイトレス姿だったのも嬉しい。

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他にも、12巻でアマテラスがゴニョゴニョと話していた、
ラキシスの機嫌を直した言葉が明らかになったり、
9巻でワンダン・ハレーに関わりエンプレスが登場したシーンが、
現在の設定で描き直されていたりと、見所がたくさんありました。

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ただ、9巻が出たのが約20年前。
12巻にしても、前々巻でしかないにも関わらず、
発売されたのはもう12年も前のことです。

古参の読者が楽しんでいるだけで、
果たして新規の読者を獲得できているのか、
ちょっと不安になるところであります。

幸い、現在の永野護先生の執筆ペースは止まること無く、
順調に連載を重ね、こうして新刊が出ています。
この勢いを持続したままFSSの人気が盛り上がることを、
なにより作品を定期的に読める今の状況が続くことを、
強く願うところでございます。
posted by 山田工作 at 19:36| Comment(0) | コミックス2018

2018年02月03日

ふたりモノローグ 3巻

「ふたりモノローグ」3巻を購読しました。



登場人物たちの心情=モノローグを表現の中心に置くことで、
会話の行き違いや人間関係のアヤをギャグに昇華したこの作品。

これまでは、妄想と言えるほど思考が暴走しているのに、
表面上はふつうを装っているキャラが多く、
その内面と外見のギャップがネタになっていました。

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それは今巻でも変わっていないのですが、
心情をつまびらかにされているキャラたちの中にあって、
ほとんど内面描写のない主要キャラが一人います。

それは、今巻で個人的にイチオシのキャラである、
蓮茂台 洸(はすもだい あきら)ちゃん。

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明朗快活なキャラであり、人当たりも良いため、
同級生だけでなく下級生からも慕われている彼女。
ヤンキーギャルとして周囲からやや浮いているみかげとも、
高校入学時から友達付き合いをしており、
みかげが気を置かずに話せる数少ない相手です。

こういうキャラは、えてして言行が一致しており、
裏表の無い感じで描かれがちですし、
実際これまではそうでした。
これが今巻では、ちょっとイメージと違う部分が描かれます。

まず一つは、佐呂間ちゃんから肌がキレイと誉められて、
スキンケアについて問われ、一度は否定したものの、
その後二人っきりの場所を選んで、実は…と告白した場面。

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自分のことを、ガサツで元気が取り柄キャラと認識しながらも、
聞かれたことに対して、隠さずちゃんと答えるその態度。
とても好感が持てる対応ですし、ギャップ萌えでもあります。

そしてもう一つ、彼女の部活の試合を、
みかげたちが応援に行った際に見せた涙。

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普段の明るく元気な彼女からは考えられない姿であり、
みかげたちだけでなく、周りの誰もが驚いています。
周囲が動揺するほどの姿を見せながらもそれを誤魔化さず、
自分の素直な気持ちをみかげに伝える洸ちゃん。
みかげならずとも心を打たれる場面です。

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そんな洸の姿に、これまでの自分の洸への態度や、
洸の性格などに思いを巡らしたみかげも流石です。
普段から他人の目を気にし過ぎるほど気にしてしまい、
常に自分を装っているみかげだからこそ、
洸の正直な姿にグッときたのでしょう。

上記の二つの場面において、
洸のモノローグはほとんどありません。
モノローグが特徴のこの作品において、
洸は自分の心情を素直に表現する、
見たまんまのキャラとして描かれています。

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かと思えば、お祭りに浴衣で行く話では、
恥ずかしいからと甚平を着て登場し、
「これしか持ってなくて」と嘘までついています。

明るく正直者な彼女であっても、場面によっては嘘をつく。
そもそも、普段明るく振る舞っているのだって、
嘘とは言わないまでも、結構気を遣っているのかもしれません。
でも、そのへんについては何も描かれず、実際のところは不明。
この、明らかな部分と分からない部分のバランス感。
これにすっかりやられてしまいました。

みかげやひなたや佐呂間ちゃんたちの、
外見と思考と行動のギャップがこの作品の魅力なら、
洸のような、キャラと行動のギャップもまた魅力。

ギャップ萌えの魔力。
これを強く感じた今巻でありました。

カバー内の描き下し漫画にも洸が登場。
是非多くの人に見てもらいたいものです。
posted by 山田工作 at 15:34| Comment(0) | コミックス2018